明治初頭の「毒婦」高橋お伝の映画である。かなり脚色してあり記録映画でなく、実在の人物を基にした劇映画である。
宝石店に現れたお伝は、ダイヤを盗む。疑いをかけられるが、宝石が見つからず、釈放される。最初はまんまと騙された若い警官は、ダイヤを見つけ、お伝を捕まえようとする。しかしお伝の手練手管に籠絡され、すっかり彼女の虜になる。以前から彼を慕っている同僚の妹も目に入らなくなる。
お伝はあばら家のような長屋に住む、実の娘を訪ねる。隣の婆が世話をしている。その婆から娘は父親に置き去り同様と聞かされる。実の母とは名乗れず、人形を与えて去る。
今のお伝には病気で臥せっている夫がいる。動けない夫は嫉妬に狂っている。その夫は丹波の手先に殺される。
お伝は娘と一緒に暮らそうとして長屋を再び訪れる。娘は少し前に死んでいた。お伝は男たちへの復讐を誓う。
東京へ向かう列車に捕縛されたお伝、目が覚めた元警官と婚約者の姿があった。
まずこの映画は、明治初めの東京を優れた映像美で再現している。予算制約の中、様々な工夫を凝らして作成したそうだが、これほど背景の雰囲気ある映画も少ない。
更に高橋お伝を、男に翻弄された同情すべき女として描いている。実際のお伝とは異なるものの、明治時代の犯罪物らしさは満喫できる。
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