2018年8月29日水曜日

婦系図より 湯島に散る花 昭和34年

土居通芳監督、新東宝、90分、総天然色映画、天知茂、高倉みゆき主演。

明治時代の人気作『婦系図』の映画化、主税、お蔦の悲恋を描く。
宴会の席、新橋随一の芸者、お蔦は踊りを披露する。若い学者、主税が紹介される。相思相愛の仲になる。
主税の恩師、真砂町の先生の娘も主税を慕っている。主税の先生宅で育てられ、先生夫婦も主税と娘の結婚を願っている。

主税とお蔦は同棲を始める。それがある事件により新聞に出る。先生は信じられない。同僚の前でこの記事が本当なら自分は学者を辞めると言い出す。しかしその後主税の告白で事実を知り愕然とし、激怒する。芸者風情と一緒になって人生を棒に振るのか、自分も辞職する必要がある、病の妻は娘との結婚を生きがいとしている、わかったら死んでしまう。
散々脅かされ、お蔦との離縁を約束する。湯島の境内で、お蔦は事情を聞き、嘆く。主税は九州へ旅立つ。

お蔦は病に臥せっている。主税が東京へ戻ってくると知る。先生の娘が病気のお蔦を見舞いに来る。娘は父親に事情を話す。先生は病床のお蔦を訪ね、謝罪し主税との結婚の仲人になると約束する。電報で主税に来るよう知らせる。しかしその前にお蔦は亡くなる。
夢でお蔦との結婚を見ていた主税は、お蔦の死を聞き絶望する。波が砕ける大きな岩から投身する。その後、先生と娘が自宅で主税の死を話し合う場面が最後。

主税の夢の結婚式の場面など、お花畑が背景となっており、いかにも新東宝らしい。
『金色夜叉』『不如帰』と共に明治時代の人気作で、古い時代に何回か映画化された。いずれの話も現代では設定が現実的でなくなり、映画化の対象でない。しかし古い話も映画として観るなら、現代的でなくとも、あるいはそれ故に楽しめる。

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