スコットランドの作家ジェイムズ・ホッグ(1770~1835)によるゴシック小説の一つに数えられる作品。原題は『義とされた罪人の手記と告白』でこの題で白水社から出ている。『悪の誘惑』とは昔出した時、出版社が直訳の題では不適当とし、こうなったとある。『悪の誘惑』ではあまり一般的で直訳の方が良いと思うが。
小説の舞台は17世紀末から18世紀初頭のスコットランド。領主の二人の息子は対照的な人間だった。兄は快活なスポーツマン、弟は宗教に凝り固まった傲慢な男となる。二人は別々に育てられ、長じてからの衝突が描かれる。第二部では同じ経緯を別の観点から見た記述がある。弟は不思議な男に出会い、感銘を受け心服する。外国人のようでありロシヤのピョートル大帝かと思い込む。弟はその男にそそのかされ、神からの使命に突き進んでいく。名誉革命後のスコットランドの宗教対立を承知していればより深く理解できる。(知らなくても読めるが)
20世紀初めまで忘れられていた小説であり、アンドレ・ジイドの序文はネタバレがある。現在では当時のスコットランドを代表する小説の一つとされているとのこと。(高橋和久訳、国書刊行会、2012年)
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