バオ・ニンはヴェトナムの小説家で本名はホアン・アウ・フォン、1952年生まれ。『戦争の悲しみ』は1991年に出されたヴェトナム戦争を描いた小説。
ヴェトナム戦争を描いたといっても戦争それ自体を対象とした小説ではない。もちろん戦闘の描写もあるが、戦争が主人公など人々に与えた人生の破壊、恋人との離別、過去の体験が今に及ぼしている苦悩などを時間を行き来する手法で書いている。主人公は小説家で過去の経験を小説にしている。これは作者バオ・ニンが小説の中に現れているかのような印象を与える。作者もヴェトナム戦争で戦った。ヴェトナム戦争が終了してからの時点で小説は始まる。主人公と幼馴染の恋人との恋愛が小説の通底にある。ヴェトナムは戦勝国でありながら人々にこのような悲劇をもたらした。
この小説の評価とは全く別の話だが、日本は前の戦争で敗戦し、日本国、日本人は犯罪者になった。だから例え才能がある人がいたとしても日本ではこのような戦争文学は書けないと思った。(井川一久訳、河出書房)
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