2024年11月30日土曜日

クレアラ・リーヴ『イギリスの老男爵』 The old english baron 1778

ゴシック小説の 歴史の中でウォルポールとアン・ラドクリフの中間に位置する小説。

騎士フィリップはかつての友人をその城に訪ねる。するとその友人は既に亡くなっており、館は他人の手に移っていた。その今の館の主人にもてなされるが、友人を亡くした傷心で滞在する気は起きず、立ち去る。ただこの間、フィリップを世話してくれた青年エドマンド、近くの農家の者なのだが、にいたく惹かれる。非常に好青年と映った。館の主人もこのエドマンドを高く買い、息子と同様に遇している。息子は二人いて弟のウィリアムはエドマンドと親友である。兄のロバートはエドマンドを快く思っていない。更に従兄はもっとエドマンドに悪意を持っていた。エドマンドは自分の存在が屋敷に良くない影響を与えると思い、去る決心をする。

この館の古い部分は使われておらず、そこに幽霊が出るという噂があった。エドマンドは主人に言われ、そこで数夜過ごし、確かめることとする。すると実際に奇妙な体験をし、中に閉じ込められていた死骸を発見するが、隠す。後にロバートや従兄がそこで過ごすと恐怖のあまり逃げ出す。結局のところ、エドマンドはこの館の正統な領主の息子であると分かり、その義弟に殺された兄が農民に預けて育てさせていたのだった。悪徳な義弟は決闘で敗北し、エドマンドが正式な城主としておさまる。エドマンドはロバート、ウィリアムの相思の妹と結婚する。(井出弘之訳、国書刊行会、1982年)

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