著者は共にMITで開発経済学を担当し、同じ年にノーベル経済学賞を受賞した。
開発経済学は途上国の経済社会をどうやって改善していくのか、成長を伸ばすにはどうしたらよいのかを探る分野である。二人は経済学の理論は踏まえている。ただ理論をそのまま現実に適用しても必ずしも良い結果を生まない。それは経済学の理論は仮定の下に組み立てられている仮設だからである。そうだといって理論を無視し、直観だけでの政策は効果がないだろう。これまでの途上国の経験がそれを示している。経済理論に基づいて開発政策に対し懐疑的な意見を持つ者に反論している。
経済学の特に知識のない人でも政府は色々政策を講じるべきだとは言える。ただそうした一般論だけでは効果が見込まれる具体的な方策は出てこない。総論的評論的意見は役に立たないのである。著者らはこれまで開発した方法等を駆使し、経済学の理論を踏まえて現実的で効果的と思われる政策を提示している。このように学者が専門的知識を用い、現実に対して発言する姿勢は大いに評価できる。日本の経済学者も見習って欲しい。原題はGood ecnomics for hard timesで2019年に出された。
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