2024年10月15日火曜日

多井学『大学教授こそこそ日記』三五館シンシャ 2023

現役の大学教授による、如何にして大学教授となったか、大学教授の実際はどのようなものであるかを書いてある暴露本の一種。このような下世話な話は誰でも好むので随分読まれているようである。

初めから学者になろうとしたわけでなく、大手銀行にも勤めていた。あまりの過重労働に音を上げ、長野県の短期大学で教員を募集しているとつてで聞き、そこに勤めるようになった。今度はあまりの給与が低いのに驚いている。銀行では長時間労働の対価として給料が出ていたわけであり、短期大学の教員(専任講師)だから低いのは当然であろう。なお著者の専門は国際政治である。徳島大学から声がかかってそこに行く。研究費その他処遇は比較にならないくらい改善した。更に現職である関西学院大学に移る。収入は一気に一千万円を超えたという。(p.125)アラフォーで、ある。生涯働いても一千万の年収に届かない人が、中小企業ではもちろん、名の知れた大企業でも多い。大学教授がこんなに儲かる仕事とは知らなかった。大学教授としての学生対応や受験の監督など嫌な業務が書かれている。

この本で驚いたのは、年収とあと誤植がある。p.188に「東大や京大などの旧帝大は教授会が強く、以前としてボトムアップ型の政策決定が行なわれているようだ。」とある。「以前」ではなく「依然」だろう。本文中の誤植は珍しいので気になった。読んだのは初版であり、後の印刷では改善されているかもしれない。

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