2024年3月25日月曜日

J・M・スコット『人魚とビスケット』 Sea-wyf and biscuit 1955

海洋冒険小説が中心部分なのだが、小説は戦後間もない時期のロンドン、新聞に出た不思議な個人広告から始まる。

これにいたく興味を持った語り手はその謎を解きたい。何やら裏の話があるようだ。これを書いて出版したい。それで関係者に接触し、ようやく納得してもらえ、スコットランドの島にある屋敷まで行く。そこで聞かされた話が中心である。第二次世界大戦中、避難船を攻撃され救命艇で同乗する二人のイギリス人の男、一人のイギリス人の女、それから混血の乗組員の物語である。インド洋の漂流の描写が延々と続く。ようやく島にたどり着くが・・・。

人間同士の感情のもつれ。女ならではの調和能力などが描かれる。最後に生き延びた人々の若干の謎明かしがある。(清水ふみ訳、創元推理文庫、2001年)

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