2024年3月20日水曜日

猟銃 昭和36年

五所平之助監督、松竹、98分、総天然色、山本富士子、岡田茉莉子、佐分利信出演。

井上靖原作の小説の映画化である。原作は昭和24年という戦後間もない時期の発表であるが、映画の方は制作時に近い時代設定。また原作では3人の女の回想する手紙から成るが、映画は時間の進行に合わせている。佐分利信は20歳も年下の岡田茉莉子と結婚している。岡田の従姉で、佐田啓二(医師)と結婚している山本富士子は夫の佐田が看護婦と情交があって子供までなしたと知り、離婚を決意する。その元看護婦(音羽信子)が置いて行った少女を自分で育てる(この辺りも原作と異なる)。佐分利は山本にいたく惹かれる。独り身になった山本に迫り、深い仲になる。たまたま岡田が二人を目撃し、どういう関係か知る。

それから8年経った。少女は女高生になりセーラー服の鰐淵晴子が演じている。8年間も不倫を隠し続けてきた。山本はもし岡田に知られたら自分は生きていけないと思っている。たまたま山本が着ていた羽織が、8年前の佐分利と一緒の時と同じだった。それを見て当時の目撃を思い出した岡田は、二人の仲を知っていると山本に告げる。衝撃を受ける山本、ついには自殺を図る。岡田は佐分利に離婚してくれと言っていた。

この話で理解できないのは、なぜ8年間も不倫を続けていたかという点である。佐分利は岡田から心が離れ山本一筋なら、時間をかけて岡田に説明し離婚して、今は独身である山本と一緒になればいいのではないか。不倫が始まった時、悪人になろうと佐分利は山本に言う。その悪人役を続けていたかったのか。岡田も最初から二人の仲を知っていたが、二人がだますなら自分もだまそうと決意したと言う。それにしても8年間、夫と従姉の不倫を知りながら、佐分利とどういう夫婦生活をしていたのだろう。全く想像できない。

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