論文を書く際の心掛けが述べられている。岩波新書中、古典と言っていい書と思っていて、何十年ぶりかに読み返してみた。
自らの経験に基づいて書き方を述べているのは清水の他の著にも通じる。覚えている箇所が幾つかあった。尤もだと思うところも多い。接続の「が」を警戒しようとか、「あるがままに」書くのはやめようなどである。しかし今回の読み返しで、どうも全体として古いと思うところや、あまり納得できないところもあった。出版が昭和34年という60年以上も前であるからしょうがないだろう。
最終章の「新しい時代に文章を生かそう」など、当時の問題意識を書いており、こんな考えをしている時代があったという歴史文書である。またp.116以下で序論と結論が必要ないと書いているが、賛成できない。論点を読者に間違いなく伝えるためにも明瞭に書いておいた方がいいと思うし、ここはワープロなど全くなく、頭から文章を書くしかない時代の発想である。著者には後の時代に書いた文章の書き方を述べた著書があるのでそちらの方がいい。
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