アレクサンドル・アジャ監督、米、87分。家庭内(地下室)で鰐に襲われる恐怖映画。
ハリケーンが近づいている。暴風雨になっている。主人公の女子は、父親がいる以前の家に捜しに行く。いない。地下室を覗くともう浸水している。降りていき、父を捜しているうちに鰐がいるので驚く。2022年10月31日月曜日
クロール 狂暴領域 Crawl 2019
魔女がいっぱい The witches 2020
ロバート・ゼメキス監督、米、104分。
語り手(黒人)が子供時代を回想し、説明していく。1968年、まだ子供の時、両親を亡くし祖母に引き取られる。鼠を買ってもらい愛玩する。マーニー Marnie 1964
ヒッチコック監督、米、130分、ショーン・コネリー、ティッピ・ヘドレン主役。
マーニーという名の女をティッピ・ヘドレンが演じる。詐欺師、泥棒であり勤めていた会社から大金を奪って逃げる。実家に母がいる。少女を世話している。ヘドレンには自分より母がよその少女を可愛がっているように見える。2022年10月30日日曜日
デメンシャ13 Dementia 13 1964
コッポラ監督、米、75分、白黒映画、ロジャー・コーマン製作。
コッポラの処女作となっている作品で恐怖映画である。コーマンが製作者であるからか。松本清張『黄色い風土』 昭和34年~35年
長篇推理小説で、清張の作品の中でも特に長い小説である。文庫で本文までで750ページある。舞台は熱海が中心で、その他、小樽、名古屋と移る。長いのであちこちの場所に移動し、多くの殺人事件が起こる。6人も殺されるのである。途中で読むのを空けていると、被害者や登場人物の名を忘れてしまう。
主人公は週刊誌の記者である。昭和30年代半ばといえば週刊誌が創刊され間もない時代である。各誌しのぎを削り競争していた。主人公は東京駅で見送りのない新婚夫婦が列車に駆け込むのを目撃する。記者が泊まった熱海の高級ホテルにその夫婦も来ていたらしい。夜、部屋を間違えて服を届けに来た男がいる。部屋番号が431と481で間違えやすかったのである。明くる日近くの岬で男の死体が見つかる。投身自殺らしい。当時、自殺の名所だった。警察は自殺と片付ける。記者はその男があの新婚の片割れと分かった。この変事を発端に次々と事件が起こり、人が死んでいく。他殺もあれば自他殺の区別が難しい件もあった。途中から謎の美人が出てくる。沈丁花の匂いがする。記者の赴く、事件がある場所で何度も出くわす。記者は惹かれる。事件を解明せんとする行動とその美人の追っかけが小説の筋を作っていく。
贋札が出てきてそれが追っている事件と関係あるらしい。昭和20年代後半に山梨県で贋札を作っていた事件があった。それに触発されているのか。千円札の贋札が出回り、世間を騒がせた騒動はこの小説が出たすぐ後である。札の肖像を聖徳太子から伊藤博文に替わらせた事件だった。あと昭和30年代半ばの小説なので、戦時中のつながりが出てくる。当時の小説や映画などは戦時中の因縁が良く出てくる。戦争が終わって15年も経っていないのである。
何しろ推理小説なので、記者の憶測が必ず事実となる。実際には多くのうちの一つの可能性に過ぎないのだが、推理小説では絶対にそれが当たるようになっている。美人の追っかけも小説ならでは、である。現実には以前会った美人に再会しようと努力しても絶対に会えない。それが本作では偶然で、くどいくらい何度も会いたい美人に会うのである。2022年10月26日水曜日
死亡遊戯 1978
ロバート・クローズ監督、香港、100分。
ブルース・リーが1972年に撮影した一部のフィルムが残っている。後に急逝した。残っているフィルムに、前半部分は別の俳優で撮った映像を付け加えて1978年に公開した。だから前半の代役撮影のところはサングラスをかけている。2022年10月25日火曜日
アウトサイダー The Outsiders 1983
コッポラ監督、米、115分。
不良少年(青年)たちの物語。主人公はまだ少年で兄二人と住む。施設帰りのマット・ディロンが偉そうにしている。2022年10月24日月曜日
ラン・ハイド・ファイト Run, Hide, Fight 2020
カイル・ランキン監督、米、110分。
高校に銃を持った生徒が乱入し生徒たちを射殺していくという、アメリカで実際に起こった事件を元にしたかと思わせる映画である。主人公は女で、父親から狩猟を教わっているところから映画は始まる。獲物を仕留めた後、苦しまないよう、とどめを刺せと言われる。ゾラ『愛の一ページ』 Une Page d’Amour 1878
主人公のエレーヌは夫を亡くしており、娘のジャンヌと共に当時はパリのはずれだったパッシーに住む。娘ジャンヌが病気にかかり、医師から治療してもらう。エレーヌは魅力的な女であり、友人の婦人たちから好かれている。娘ジャンヌとは深い絆で結ばれていた。
ある日、エレーヌは妻帯者の医師から愛を告白される。もちろん拒む。医師の妻は自分の友人でもある。医師はいったんは引き下がるが、その思いは続いていた。また娘のジャンヌは過敏で母と医師の間の感情の動きを察していた。医師が母を奪うと思い、嫌うようになる。ジャンヌはその後、病気の発作が出るが、もうあの医師は拒み別の老医師が診るようになる。エレーヌは未亡人であり、医師からの求愛は内心喜びをもたらしていた。到頭最後に二人は秘密に結ばれる。人目を忍ぶ仲になる。
ジャンヌは病気に再びかかる。移転療養に医師もそこへ行くというのでエレーヌが喜んで賛成しているうちにジャンヌは亡くなる。2年後、エレーヌはジャンヌと仲が良かった老人と再婚していた。(石井啓子訳、藤原書店、2003年)
カトマンズの男 Les tribulations D'un chinois en Chine 1965
フィリップ・ド・ブロカ監督、仏伊、110分、ジャン=ポール・ベルモンド主演。
原作はヴェルヌの小説『ある中国人の困難』(映画の原題と同じ、邦訳名「必死の逃亡者」創元推理文庫)である。原作は中国舞台の中国人の話である。
2022年10月22日土曜日
キートンの大列車追跡 The general 1926
キートン、ブラックマン監督、無声、74分。
南北戦争を部隊にした映画。南軍側が主である。キートンは恋人にせかされ、兵士に応募に行くが落とされる。キートンが機関手なので、汽車を担当させた方がいいと判断されたからである。兵士になれないキートンは恋人から愛想をつかされる。ビッチ・スラップ Bitch slap 2009
ジェイコブソン監督、米、105分。
砂漠にやって来た女三人。男を痛めつけて宝の在り処を聞きだそうとする。この辺りのどこからに宝が埋まっているはずなのである。映画は何度も回想で過去に遡る。多過ぎと思うくらいである。過去の場面はここに至った経緯の説明なのである。回想にも出た日本人の女が現在にも再登場する。新エクソシスト/死肉のダンス La casa dell exorcism 1975
マリオ・バーヴァ監督、伊米、94分。
同じ監督の『リサと悪魔』の改作版である。『リサと悪魔』がお蔵入りとなっていた当時、『エクソシスト』が売れたので、その要素を取り入れ改作したという映画である。2022年10月21日金曜日
松本清張『時間の習俗』 昭和36年~37年
九州、門司の和布刈神社で旧正月夜中に行なわれる神事。これが小説の大きな要素になる。行事が行なわれる頃、関東の相模湖で殺人事件が起きた。被害者の男と一緒にいた女が行方不明になる。加害者かと疑われる。
『点と線』に出ていた刑事がある男に目をつける。しかしその男は和布刈神社の行事に行っていて写真まで撮っている。その行事の後、明くる日の旅館で撮った写真が続くネガフィルムがある。犯行時に九州に行っていたことになる。刑事はその男が真犯人だと疑わない。何らかのトリックがある筈だ。九州の旧知の老刑事に連絡して調べてもらう。更にその九州で新たな殺人事件が起こる。清張の小説でお馴染みの、犯人が都合の悪い人間をまた殺害するという展開になる。
犯人は分かっている。そのアリバイ崩しとフィルムの謎、消えた女の問題などが本書の謎で、それを解き明かしていく。清張は社会派推理小説家と言われ、本格推理小説とは異なる作家という印象があるが、本書はまさに謎解きを主とする本格推理小説である。本格推理小説とは理屈が通っていれば、非現実な設定、現実には有り得ない犯罪実行でも全く問われず、それでよしとされる。本書にはその分類が当てはまる。地方の行事や、今となってはない古い時代の風俗が出てきて、それらは清張の他の小説と同様である。
2022年10月20日木曜日
エルミタージュ幻想 Русский ковчег 2002
アレクサンドル・ソクーロフ監督、露、99分。
ロシヤのペテルブルグのエルミタージュ美術館は、かつてロシヤ帝国の宮殿だった。19世紀のエルミタージュにフランス人の外交官が来て、あれこれ批評する、話をする。それが皇帝を初め、王族貴族たちがたむろする中で進行する。多くの美術品の中で昔の雰囲気を再現する。封神伝奇 バトルオブゴッド 封神傳奇 2016
コアン・ホイ監督、中国、109分。
中国の小説『封神演義』を基にして作られた映画。古代の中国が舞台。紂王の妃、妲己は妖術を使い、紂王を操って悪政を行なわせている。この妲己の妖術に対抗すべく、道士やかつては飛翔できる族だった若い男が立ち向かう。全編、妖術、超能力の闘いが繰り広げられる。コンピューター・グラフィックスによる特撮の連続である。2022年10月12日水曜日
ランブル・フィッシュ Rumble fish 1983
コッポラ監督、米、94分、白黒映画。
マット・ディロンが不良で主役、その仲間にニコラス・ケイジ他、後に有名になる俳優がいてみんな若い。ディロンの憧れる兄、ミッキー・ロークが帰ってくる。ロークは伝説的な存在であったが、昔とは変わっていた。ディロンは兄のようになりたいと昔から思っていて、それは今も変わらない。しかしロークは大人になり、不良青年の憧れとはずれていた。松本清張『歪んだ複写』 昭和34、35年
副題に「税務署殺人事件」とあるように、税務署内での醜聞から起こる殺人事件が描かれる。
中央線沿線は住宅開発が進み家は建つようになっていたが、まだ人気のない場所も多かった時代。男の死体が発見された。身元が分からない。遡ってある料亭の前の喫茶店で粘っている男がいた。後に料亭から出てくる者を見張っていたと分かる。この粘っていた男が殺された被害者だった。小説では新聞記者が主人公になって事件の真相を究明しようとする。大筋は喫茶店で監視していた男、殺害された男は元税務署の職員だった。汚職があってその責任を被る形で辞めた。しかし上司たちは出世していき、男は我慢できない。料亭に通う上司たちを見張って、恐喝をする。そのため逆に殺されたのが冒頭の事件である。それだけでない。清張の小説によくある事件の捜査に携わる男が殺されるという展開がここでもある。税務署の内情に詳しいという者でその男が新聞記者に語る税務署職員のたかりの実態は、全く言語道断の悪行である。最後に幾つか起こる殺人はエリート官僚の保身が起こしたと判明する。
松本清張はこの小説当時、ベストセラー作家で所得も多かっただろうから、税務署に不愉快な目に会わされてこんな小説を書いたのかと勘繰りたくなる。全国の税務署職員に読ませて感想を聞きたいところである。2022年10月11日火曜日
大頭脳 Le Cerveau 1969
ジェラール・ウーリー監督、仏、100分、ジャン=ポール・ベルモンド主演。
列車からの大金強奪騒動で、実際にイギリスで起きた強盗事件を下敷きにしている。刑務所に入っているベルモンドは仲間のタクシー運転手の助けにより脱獄する。ブレイン・ゲーム Solace 2015
アルフォンソ・ポヤルト監督、米、101分。アンソニー・ホプキンズ主演。
ホプキンズは超能力の持ち主で、引退していたが、FBIの依頼で捜査に協力する。FBIの若い女捜査官は医学が専門で超能力に懐疑的であり、ホプキンズも女の専門を馬鹿にする。2022年10月4日火曜日
ゾラ『ムーレ神父のあやまち』 La Faute de l’Abbe Mouret 1875
ルゴン・マッカール叢書の第5巻として発表された。片田舎の神父ムーレは若いが敬虔で自らの職務を真面目に考えていた。動物好きでやや精神の発達が遅れている妹、世話をやく婦人、また他人に厳しい修道士らが仲間である。田舎なので人々は封建的で娘の結婚を許さない父親の説得等にムーレは努めていた。
村のはずれにパラドゥーという廃墟の城を中心に果樹園や森などを含む領地がある。そこに住む偏屈親爺のジャンベルナは無信仰の知識人である。その姪にアルビーヌという魅力的な娘がいる。小説の第2部ではムーレが病気にかかり、アルビーヌに看病され、パラドゥーでの二人の生活が幻想的に書かれる。まるで夢の中の出来事か何かと想うくらいである。
第3部ではムーレは回復し元の教会で仕事をしているが、アルビーヌとの生活を信仰からあまりにかけ離れた過ちと激しく後悔している。マドレーヌが誘いに来る。あんなに世話したからムーレは助かったのではないか。もう自分を愛していないのか、アルビーヌは激しく迫る。神に仕えるムーレは拒否する。しかし内心はアルビーヌに惹かれていた。後にパラドゥーに行く。しかしそこの森や果樹園などかつてアルビーヌと暮らした風景を見ても今やムーレの心は動かない。アルビーヌはもうムーレが自分を愛していない。帰れと言う。後にアルビーヌは自死する。妊娠していたと分かる。アルビーヌを葬るムーレの心は何も説明がない。
清水正和、倉智恒夫訳、藤原書店、2003
デンジャー・クロース 極限着弾 Danger close: The battle of Long Tan 2018
クリフ・ステンダーズ監督、豪、126分。
オーストラリアはヴェトナム戦争で米側について参戦した。戦争で犠牲になった若い豪の兵士たちをモデルにした映画である。オーストラリアの映画と知らなければ、ヴェトナム戦争映画もので米の映画と思ってしまうかもしれない。もっとも英語がオーストラリア発音で、知っていれば分かるだろう。
2022年10月2日日曜日
ボードウェル、トンプソン『フィルム・アート――映画芸術入門』 2007
著者は映画学者で米の大学の教授である。本書は大部な書で、映画がどのようなものであるか、形式、タイプ、スタイル、批評分析、映画史、見るための手引き、に分け解説している。 タイプはジャンルを指し、スタイルではミザンセン、ショット、音につき解説する。批評分析では具体的な映画を幾つか挙げて分析している。映画史は欧米の映画史で、それ以外では香港映画を解説している。見るための手引きを読むと、本書がアメリカ人を対象とし、映画を勉強する学生を念頭において書いていると分かる。
小林武彦『生物はなぜ死ぬのか』講談社現代新書 2021
著者は生物学者で、なぜ生物は死ぬような仕組みになっているのか、専門知識で説明する。「生物はなぜ誕生したのか」「生物はなぜ絶滅するのか」「生物はどのように死ぬのか」「ヒトはどのように死ぬのか」「生物はなぜ死ぬのか」の章に分かれ、論じる。
絶滅せずこれまで生き延びてこられたのは、多様性のお陰である。多様性によって進化し環境に適応してきた。そのためには古いものはなくなって、必要となった新しいものが出てこなくてはならない。だから死は生物が全体として生き延びていくためには必要なのである。
生物全体として、また人間全体として死が必要なことは分かる。ただ個々の、具体的には自分という人間が死ぬという事実を納得させるのは哲学等の領域なのか。