主人公のエレーヌは夫を亡くしており、娘のジャンヌと共に当時はパリのはずれだったパッシーに住む。娘ジャンヌが病気にかかり、医師から治療してもらう。エレーヌは魅力的な女であり、友人の婦人たちから好かれている。娘ジャンヌとは深い絆で結ばれていた。
ある日、エレーヌは妻帯者の医師から愛を告白される。もちろん拒む。医師の妻は自分の友人でもある。医師はいったんは引き下がるが、その思いは続いていた。また娘のジャンヌは過敏で母と医師の間の感情の動きを察していた。医師が母を奪うと思い、嫌うようになる。ジャンヌはその後、病気の発作が出るが、もうあの医師は拒み別の老医師が診るようになる。エレーヌは未亡人であり、医師からの求愛は内心喜びをもたらしていた。到頭最後に二人は秘密に結ばれる。人目を忍ぶ仲になる。
ジャンヌは病気に再びかかる。移転療養に医師もそこへ行くというのでエレーヌが喜んで賛成しているうちにジャンヌは亡くなる。2年後、エレーヌはジャンヌと仲が良かった老人と再婚していた。(石井啓子訳、藤原書店、2003年)
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