2021年6月2日水曜日

ニューバーン『犯罪学』 Criminology: A very short introduction 2018

著者はイギリスの大学教授、犯罪学と社会政策を担当。次の様な内容である。犯罪とは何かを考える。誰が犯罪を行なうか、時系列でみて犯罪はどう変化しているのか。犯罪を測るには犯罪統計がある。当局側の統計と被害者調査を述べる。近年、欧米では数十年単位で見ていくと、90年代がピークでその後減少している。ずっと増加してきた犯罪件数は90年代を境に減少傾向に転じている。米でも英でも同様である。これはなぜか。極めて興味深い現象であるにもかかわらず、決め手となる証拠が見つからない。ニューヨークでは警官の数を大幅に増やした事実が影響していそうである。

他にも犯罪の制御や予防いついて論じる。本書は思弁的哲学的に犯罪を論じた書ではない。実証的に数字を挙げて論を進めていく。それは考察の対象である欧米諸国の数字であり、日本のそれでない。日本について同様の考察を進めていくとどうなるか。それは日本の問題であり、方法論的に参考になるが、日本の犯罪そのものは日本人の課題である。

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