2021年6月3日木曜日

稲垣栄洋『生き物の死にざま』草思社 2019

昆虫や魚など海洋生物、更には哺乳類に至るまで個々の生物がどのようにして死を迎えるかを綴った読み物。

空が見えない最期―セミ/子に身を捧ぐ生涯―ハサミムシ/母なる川で循環していく命―サケ/子を想い命がけの侵入と脱出―アカイエカ/三億年命をつないできたつわもの―カゲロウ/メスに食われながらも交尾をやめないオス―カマキリ/交尾に明け暮れ、死す―アンテキヌス、等々。

一般的に言って、人間以外の生物、特に下等視される生物は子孫を作るためだけに生まれ、その使命を果たしたら生を終えるという理解はあった。それを具体的な生物に即して、夫々の死に様を追っている読み物である。極めて興味深く読める。人生ははかないとは昔からよく言われる。しかしここで記述された生物に比べ、人間はなんと長生きできるのだろうかと思ってしまう。自らの人生を再考させてくれる。

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