まさにニーチェならではの箴言に満ちた書。本著は『ツァラトゥストラはかく語りき』がほとんど話題にならなかったので、その内容を言わば「普通」の論を進める形式で書いた本だそうだ。善悪の彼岸とは従来からの善悪といった常識的な判断基準を乗り越えたところにニーチェの主張があるからだ。もちろん常識を批判するだけの書ではない。哲学者としてのカントの認識それ自体のとらえ方を初めとして、西洋哲学のこれまでのあり方を批判している。
素人が読んでいて面白いのは女やエリートなどを論じたところであろう。現代の人権感覚に照らして大問題の記述が多く、それが痛快とも言える気分にさせる。
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