以下の怪奇実話が収められている。
I「インヴェラレイの竪琴弾き」、「鉄の檻の中の男」、「グレイミスの秘密」、「ヒントン・アンプナーの幽霊」、「エプワース牧師館の怪」、「ある幽霊屋敷の記録」、II「死神」、「首のない女」、「死の谷」、「女好きな幽霊」、「若い女優の死」、「画室の怪」、「魔のテーブル」、「貸家の怪」、「石切場の怪物」、「呪われたルドルフ」、「屍衣の花嫁」、「舵を北西に」、「鏡中影」、「夜汽車の女」、「浮標」、III「ベル・ウィッチ事件」
実話であるため、小説のようなびっくりする話が入っているわけではない。ただ本集は全く小説みたいに書かれている。実話だから報告書風かと思い込んでいたら、会話や人物の心の動きなどが書いてあり、どうして分かったのかと思ってしまった。
先にびっくりするような話でないと言ったが、どこにでもありそうな話と言ってもよい。例えば初めの方は古い城だか館で不思議な音がするとか、幽霊もどきが出てくる、といった話なのである。おかしな音がするとは集合住宅に住んでいれば誰でも経験する。子供か何かのバタバタ走り回る音でない。不思議な気味の悪い音が夜中に聞こえてくる、など珍しい経験でない。だから本書に他にない怪奇話を求めると拍子抜けする向きがあろう。こういう西洋の話好きとか編者のファンが多いらしいので、そういう人向けである。
元々、昭和34年に東京創元社から出された世界恐怖小説全集の一巻として出されたそうだ。
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