2019年11月3日日曜日

飢ゆるアメリカ Heros for Sale 1933

ウィリアム・A・ウェルマン監督、ワーナー・ブラザーズ、71分。
第一次世界大戦で負傷して帰国した男が、苦労して社会に尽くす。しかし逆境と大恐慌に巻き込まれる。

第一次世界大戦の戦場。米兵たちは突撃を命じられる。戦死した者が多かった。主人公は負傷して独軍に捕まる。生き残った男は英雄になり凱旋帰還する。休戦になる。
主人公はドイツの医師から治療を受け、痛み止めにモルヒネを渡され、帰国する。
故郷であの英雄になった男に再会する。英雄は生きている主人公に驚く。捕虜になった相手でなく自分が英雄になったのを謝る。主人公は英雄の家が経営する銀行に勤める。
モルヒネ常用者になっていた主人公の男は仕事がうまく出来ず、勤務中に麻薬売人へ薬買いに行っていたりした。銀行にばれ解雇される。シカゴに行く。

男はある安酒場で飲んでいて女主人に宿はないかと尋ねる。上の階が空いているという。部屋を見た男は気に入らず断ろうとしたら、向いの部屋の若い女を見る。それですっかり気を変え早速部屋を借りる。強引に女に外出を申し込む。話しているうちに男が無職だと言うと、自分が働いている洗濯工場に来ないかと女は誘う。
その工場で働くことになった男はめきめき業績を上げる。支配人にこつを聞かれる。客に知り合いを紹介してもらい、その連鎖で次々と客を獲得する、と答える。

男は女と結婚しまもなく男の子が産まれる。
酒場の常連で共産主義者と名乗るドイツ人がいた。口の悪い発明家で、洗濯の自動機械を発明した。友人である主人公の男に特許料を貸してくれと頼む。男は貸してやり特許の共同権者となった。働いている工場に機械を紹介し導入してもらう。ただし従業者は解雇しないという条件の下で。工場は生産性を上げ売れ行きが増した。
まもなく工場の支配人が亡くなる。その後の支配人は少しの改良で従業者を減らせると分かる。これを知った従業者が機械をこわせと工場へ向かう。従業者の群れに抵抗は無駄だと説く男。暴動を防ぐため警官隊が出動する。男の妻は心配になり暴動現場に向かう。群衆の暴動に巻き込まれた女は死ぬ。男は暴動の首謀者にされてしまい5年の懲役をくらう。

刑を終え、シカゴへ帰ってきたら息子は大きくなっていた。あの発明家のドイツ人は儲けたカネを主人公のために貯金していた。男が窓の外を見ると無職者の列がある。酒場の女主人が無料で食事を配給していたのだ。もちろん失業者は多く足りない。男はもらった貯金通帳を女主人にやる。
警察が赤狩りをしていた。男のもとへも何回か来る。最後に街を出て行けと命令する。息子に別れを告げシカゴを出る。アメリカのあちこちへ行く。失業者は出て行けの看板がある。男はある場所で銀行家の英雄に会う。聞けば株の暴落で没落したと。警察がやって来て、そこにいる連中を狩り出す。男はこれから世の中が良くなる、ルーズベルトもそう言っていると英雄に告げる。

制作当時の恐慌時代がそのまま背景になっている映画である。

0 件のコメント:

コメントを投稿