2019年9月6日金曜日

アルベルト・ボードウァン『オランダ領事の幕末維新』

幕末から明治維新後まで日本に滞在し、最初は商人として、後にはオランダの領事となったボードウァンが祖国の肉親に宛てた書簡から成る。
1859年に30歳のボードウァンは長崎出島に到着する。その後、兵庫や横浜からの手紙もあるが、出島発の書簡が特に幕藩期には多い。
ボードウァンは一時的に帰国した場合もあるが、最終的に1874年に日本を去るまで滞日した。
日本に着いた当初は日本人に対して不満や愚痴が多い。時間を守らない(遅れる)や仕事がのろい、といった今日、途上国の人々に対して言われる不満がそのままある。
しかし次第に、日本はオランダと比べて温暖で過ごしやすいといった肯定的評価が出てくる。もっとも長崎のせいか雨の多さには閉口したようだ。
目立って日本を評価するような文言はない。しかしオランダに帰りたくないような言もたまに出てくる。歴史に出てくる諸事件、外国人が侍に殺傷された事件なども出てくる。事実を伝えて論評などはしていない。
身内に宛てた書簡集であるから特別面白いとか刺激的な記述はない。書簡ならそういうものであろう。ともかく幕末維新にかけての外国人の記録として意味がある。
フォス美弥子訳、新人物往来社、昭和62

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