浦山桐郎監督による日活映画。出演は河原崎長一郎、浅丘ルリ子、小林トシエ。
白黒場面が大半であるが、回想では緑がかった色、セピア色になったり、終末辺は総天然色となるなど色彩変化が多い。
最初の出演者紹介ではまず河原崎長一郎と浅丘ルリ子の名が出る。次の画面の複数名のうち小林トシエが最初に出る。しかし実質的には小林トシエ主演の映画である。
大筋は男が結婚のため邪魔になった女を棄てるというもので、これだけ書くと米のドライサー『アメリカの悲劇』を映画化した『日の当たる場所』と同じである。もちろん『日の当たる場所』の日本版などでない。邪魔者を消して終わりでなく、棄てた女にかなり引きずられる男の話である。
棄てられる女は純真そのものに描かれ、男の勝手さと気の弱さが対照される。
秀作と思うが、最後のあたりやや意味がわからなくなっている。もう少し良くできたのではないかと思ってしまう。
小林トシエはこの映画以外にも出演したと思うが記憶にない。しかし本作一作で映画史に名を残した。その当時は人気で多くの映画に主演したものの、後になってからはあまり観られない女優がいる。その一方で小林トシエのように人気女優とは言い難いものの、名作を残している人がいる。どちらが俳優として望ましいのだろうかと思ってしまった。
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