美術、特に現代美術の取引がどのように行われ、どう価格が形成されていくかを中心に解説した本である。書名のような美術の価値とは何かを論じたと言うより、現代社会での美術のあり方を語っている。どのように金持ちが美術に巨額の金を出し、それで価格が形成されていくかの仕組みが書いてある。
資本主義の中での美術がどう扱われていくかの実態を述べる。資本主義とは人間の外にあって人間を支配翻弄する怪物のように書かれる場合がよくあるが、資本主義とは人間の欲求、欲望を実現させる仕組みなので、人間というものの本質をあらわにする。人間とは別ものとみなしては理解できない。本書でマルクス経済学の用語を使って商品の「使用価値」と「交換価値」という言い方が出てくるが、美術品の取引で成立する「交換(市場)価値」と、書名にある「美術価値」とは乖離することがないのか。そのへんをどう理解するのか。
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