2025年12月15日月曜日

小峰隆夫他『エコノミストの戦後史』日本経済新聞出版社 2013

日本経済研究センターが1963年に出来て50年経ったので、その歩みを振り返り、今後のあり方を考えるための出版である。現在日経センターに関わっている担当者たちが、過去に日経センターを導いてきた、参加して人たちにインタビューを行った記録である。過去の大物エコノミスト、経済学者による回想はそれだけで価値がある。しかしながら、現在の日経センターとしては今後、センターをどうしていくか、が最大の関心事であったと思う。この問題に十分なヒントが得られたであろうか。

このうち、浜田宏一と聞き手である岡崎哲二、寺西重郎とのインタビューでは結構議論をしている。大体この人の価値観、イデオロギーはこうだと、それで分類して分かったつもりになっている場合がある。このインタビューはどちらに組するにしても、経済学の知見が必要な議論をしている。ともかく双方の経済学的検討がまず最初にくる。

また日銀にいた鈴木淑夫(懐かしい名)が、バブル崩壊後の長い不景気は、橋本内閣の消費税引上げが原因で、あれがなければもっと早く良くなっていたと言っている。消費税引上げの悪影響は良く言われるが、実際に分析してどの程度数量的に、失われた20年か30年に寄与しているのか、自分は知らないが、これは当然どこかでやっているだろう。それを元に議論すべきである。また小泉内閣によって格差が進んだという話も当然のようにされているが、随分前の話になるが、小泉行革でどの程度格差が進んだかのまともな分析はされていない、と聞いた。今ではどこかでやっているだろうから、それによって定量的に議論すべきであって、多数意見だからと言ってそれに寄りかかっていてはだめだろう。

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