2025年12月14日日曜日

セルギー神父 1911

若い士官は将来が嘱望されていた。しかし婚約したものの、それを中止し退官する。婚約者が実は皇帝の情人をしていたと知ったからである。その後は修道院に入る。ここでも精進し、高く評価される。しかし修道院の実際は世俗と同様、野望だけの人間の集まりに過ぎないと知る。反抗的な態度に出たため、上の者に忌避され僻地の場所に行かされる。

ここでも聖人とされるほどの評価を受ける。厳格な生活を送っていたので、ある軽薄な婦人が尋ねてきて誘惑する。誘惑に負けまいと自分の指を切って会う。婦人は驚愕し逃げる。病気を治す力があるとされ、多くの者が治癒を祈願に訪れる。ある日、自分の娘の病気を治してほしいとやってきた男の娘に会う。その時に女を抱いてしまう。恐れ慄き、そこから逃げる。

自分の幼馴染みの不幸な女を思い出す。女の家に行く。女は亭主などに苦労させられ、惨めな生活を送っていた。しかし幼馴染に会い、女の生活こそ真の神に仕える道と理解する。後は巡礼の札を持っていないためシベリアに送られ、そこで暮らす。(ポケットマスターピース、集英社文庫、2016)

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