文学史上傑作と言われる本作。要約して言えば美人の人妻が不倫をし、最後は自殺してしまう。
何十年ぶりの読み返し。昔、子供に近い歳で読んだ時は、ほとんど印象が残っていない。今度の読み返しではどうか。感銘を受けたとは言い難い。人妻の不倫による破滅なら『アンナ・カレーニナ』も同じだ。その『アンナ・カレーニナ』の方は昔から大傑作だと思い、何度も読み返している。正直最高の小説ではないかと『失われた未来を求めて』を読むまで思っていた。もちろんプルーストに劣るとかの話でない。トルストイとプルーストを比較してもしょうがない。
このフロベールは多くの人が本当に自分に正直に、面白い小説と感じているのだろうか。文学史上の位置、意義とか技巧上の問題でなく、読者に関心を持たせる(面白い)小説と思っているのだろうか。
昔は大いに読まれたが、最近はあまり読まれなくなっている小説がある。フランス文学で言えば『ジャン・クリストフ』とかジードとか。『ジャン・クリストフ』が読まれなくなった理由は分かるような気がする。なぜ昔あんなに人気のあったジードが最近は読まれなくなったのか、良く分からない。読めば今でも面白いと思うが。『ジャン・クリストフ』やジードが読まれなくなっているなら、『ボヴァリー夫人』だって今更人に勧める小説だろうかと思ってしまう。(菅野昭正訳、集英社世界文学全集)
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