2021年9月28日火曜日

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド Once Upon a Time in Hollywood 2019

タランティーノ監督、米、161分。レオナルド・ディカプリオが俳優役で、ブラッド・ピットがそのスタントマン役で出ている。

舞台は1969年のハリウッド、同年に起きたシャロン・テート殺人事件を大きな素材として用いている。ディカプリオは既に盛りを過ぎたアクション俳優である。かつてテレビの西部劇物で有名だったが、今では新人俳優に殺される引き立て役になっている。ディカプリオが落ちぶれた役者を演じ、俳優という仕事が流行に翻弄される実際にあって、身につまされる話になっている。当時の映画製作状況が背景になっていて、そういう意味でも面白い。

登場人物は実在の映画関係者が多い。映画で普通に見られる俳優である、スティーブ・マックィーンやブルース・リーなどを今の俳優が演じている。映画の中でブルース・リーがケイトーと呼ばれるのは、リーが『グリーン・ホーネット』というTVドラマにケイトー(加藤の英語読み)役で出ていて、知られていたからである。実在俳優のうちシャロン・テートは話の進行に重大な役割を果たすわけではないが出番は多い。

当時のハリウッドに留まらず、社会状況が分かれば映画はより面白く観られる。ヒッピーにディカプリオが軽蔑的な口をきく。これはヒッピーのカルト集団である、チャールズ・マンソン率いる一味がシャロン・テート殺人事件を起こした事実への伏線である。映画の途中、ブラッド・ピットが郊外の牧場のようなところに行き、若干悶着を起こす。この牧場もマンソン一味に関係のあった場所である。映画はこのように観客を引っ張っておいて意外な展開を見せる。

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