いずれもゴダールほかが「ジガ・ヴェルトフ集団」の名で発表した映画である。劇映画ではなく、政治主張の映画である。映画では常にお喋りまたは演説が続く。それもマルクス主義の主張である。
『ブリティッシュ・サウンズ』では車組立工場を背景として延々と政治主張を聞かされ、場面が変わると全裸の女が出てきて意味もなく(?)動いている。更に男たちの議論の場。実際の経済について論議している、など。『イタリアにおける闘争』ではマルクス主義の女子学生が理論やその実践について自分の考えを喋っていく。『ジェーンへの手紙』のジェーンとは女優ジェーン・フォンダを指す。反戦家として名高いジェーンは結局のところ、資本主義の中でのブルジュワに過ぎないとの糾弾である。
いずれも観ていて本当につまらない映画である。延々と政治主張を聞かされる。その内容ときたら陳腐というより、当時の左翼知識人の幻想に過ぎなかったと現在では分かっている。正直なところ、偉大な映画監督として評価されるゴダールが制作しているので、今でも残っているのではないか、鑑賞の対象となっているのではないかと思ってしまうくらいである。もちろん資料的な価値はある。1960年代から70年代にかけて西側諸国の左翼知識人がどう考えていたかの記録である。年配の者は懐かしさを覚えるかもしれない。
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