2018年12月12日水曜日

ペンション「楽園」 Pensionat Paradiset 1937

スウェーデン映画、ヴェイレル・ヒルデブランド監督、78分。
ペンションを舞台とし、偽装や勘違いで展開する喜劇映画。
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島へ向かう船から始まる。青年は故郷の島に帰って来て、好きな少女と再会する。結婚したいと思っているが、少女の母は彼女を男爵と娶わせるつもりだった。母親が経営するペンション。上流階級の婦人たちが多く泊まる。少女の母、女主人のところへ来た手紙によると、アルゼンチンの有名な歌手である義兄が島に来るという。会ったことはない。

彼女は女中に口やかましい。女中は嫌になってペンションを去り、仕立屋をしている兄の家に戻る。兄とそこで働く青年は歓迎してくれる。しかし彼女は思い出す。アイロンをかけている途中、ペンションを出た。アイロンがそのままになっており、火事になる危険がある。
仕立屋は単車で、アイロンの始末にペンションに行く。夜中に着いてアイロンを取ろうとすると熱いので取り落とし、大きな音をたてる。これで女主人や多くの婦人が起きて騒ぎ出す。兄は椅子の後ろに隠れ夜を明かす。
朝になって逃げようとすると女主人に見つかる。女主人はこれが歌手の義兄と思い込み、声をかける。行きがかり上、歌手で通すことにする。

そこのペンションの住人、自称男爵は実は詐欺師で、兄の元からの知り合いである。詐欺師は盗みを働こうとするが、仕立屋が邪魔しようとする。お互い身分を偽っていることを知っているので女主人のいない時には取っ組み合いの喧嘩となる。

兄が戻ってこない女中は心配になり、働いている男と共にペンションに戻る。女主人に会う時、男は女装してごまかした。仕事を聞かれ仕立てをしていると言うと、娘の水着を見てくれと頼まれる。成り行きで娘とその女友達に、水泳に連れて行かされる。風船を胸に入れて誤魔化す。昔の水着であまり身体を出さないので何とか助かる。
ペンションに戻ってくると、詐欺師に誘われ部屋に連れられる。女中らは娘に詐欺師の正体を知らせるため、同じ部屋に送り込む。同じ場所に女装男と娘が隠れようとするなど、おなじみのドタバタが起きる。

映画冒頭の青年はボートの新キャブレターを発明し、これを搭載したボートの競争で勝ち、会社に認めてもらうつもりだった。娘に応援に来てもらいたい。港の近く娘は詐欺師につかまっていた。青年は詐欺師から娘を離そうとする。来る前に詐欺師は女主人の宝飾品を盗んでいた。

ペンションに本物の歌手、義兄が来る。仕立屋と鉢合わせする。仕立屋は火事を防いでくれたとわかり感謝される。女主人は宝飾品がないと気づく。あの詐欺師だと仕立屋は駆けだす。仕立屋と詐欺師は喧嘩になる。組み合いのままボートに落ちて、その時、ボートレースが開始する。ボートは動き出す。仕立屋は詐欺師をやっつけつつボートを操縦し、新キャブレターの性能で優勝する。青年は会社に認めてもらい、娘と結婚できるようになる。また女主人はすっかり仕立屋を気に入り、これも結ばれる。

戦前の映画で、当時の知識層は女装の男が出てくるような低俗性を非難したと国立FAのパンフレットにある。戦前なら価値観もより保守的であったろう。
ただ観ているだけでは1950年代の映画と言われても納得しそう。服装があまり変わっていないし。日本の映画だったら戦前と1950年代製作の区別はすぐつくだろう。

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