内田吐夢監督による日活多摩川作品。我が国にフィルムが残っておらず、ドイツ語字幕版で鑑賞されてきた。今回上映された(風見章子没記念、フィルムセンター)ものは従来のドイツ版の他、ロシヤでも発見されたフィルムを加え編集した117分の最長版。元は142分だったそうで、最終部分は欠落している。
茨城県の鬼怒川沿いの農村に住む小作農を描いた映画。長塚節の原作は明治の終わりに発表されている。
主人公の男は妻に先立たれ、娘、息子と舅と暮らしている。舅とは借金のことで仲が悪い。前半では話らしい話はない。後半で舅の過ちで火事を起こしてしまい、家は全焼。気落ちしてしまった男を娘は励ます。舅は火事で火傷を負い、他人の家に世話になっている。男は見舞おうともせず村人たちから非難される。自責の感がある舅は世話になっている家を抜け出す。村人たちは総出で捜そうとする。男も捜しに出る。舅は掘立小屋の自分の家に戻ってくる。娘を初め家族みんなで息を吹き返そうと努力する。ここでフィルムは切れ、残りの要約の字幕が出る。最終部分が残っていないのは残念。
何十年ぶりの再鑑賞。以前はドイツ発見版だけだったろう。
昔の映画で音も良好でなく、かつ方言のせいで会話が聞き取りにくい。方言はかなり標準語化させていると思うが。字幕がドイツ語でもし英語だったら良かったのにと思ってしまった。知っている数少ないドイツ語の単語によって、意味がとれたところもある。
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