2017年6月4日日曜日

竹森俊平『逆流するグローバリズム』PHP新書 2015



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著者はギリシャに端を発するユーロ危機についての書物をこれまで何冊か出している。
本書は新書版で読みやすい。また他の書物にないIMFという国際機関まで踏み込んでいて、興味深い。
著者によれば欧州統合は、目的も手段も戦略的思考が欠けていたという。ディアレクティックな思考法、すなわち矛盾を浮かび上がらせて深化を進める方法でやってきた。そのため今回のような危機を招いてもそれが統合につながると思っていた。

その他、国ごとの発想法の違い、ルール重視のドイツや危機を巡るアメリカの介入、更にIMFの役割に話は及ぶ。特にIMFのユーロ危機や、やや唐突な感じもするウクライナ危機へ介入する論理を述べる。そしてIMFへの第二位の出資国である日本としての自覚を促す。更に中国指導のアジアインフラ投資銀行の意味についても述べる。
色々勉強になった本であった。

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