戦前に米の怪奇小説雑誌(pulp magazine)Weird talesから邦訳(翻案を含む)された小説を集めている。内容は以下の通り。
「深夜の自動車」アーチー・ビンズ/「第三の拇指紋」モーティマー・リヴィタン/「寄生手─バーンストラム博士の日記─」R・アンソニー/「蝙蝠鐘楼」オーガスト・ダーレス/「漂流者の手記」フランク・ベルナップ・ロング/「白手の黒奴」エリ・コルター/「離魂術」ポール・S・パワーズ/「納骨堂に」ヴィクター・ローワン/「悪魔の床」ジェラルド・ディーン/「片手片足の無い骸骨」H・トムソン・リッチ/「死霊」ラウル・ルノアール/「河岸の怪人」ヘンリー・W・ホワイトヒル/「足枷の花嫁」スチュワート・ヴァン・ダー・ヴィア/「蟹人」ロメオ・プール/「死人の唇」W・J・スタンパー/「博士を拾ふ」シーウェル・ピースリー・ライト/「アフリカの恐怖」W・チズウェル・コリンズ/「洞窟の妖魔」パウル・S・パワーズ/「怪樹の腕」R・G・マクレディ/「執念」H・トンプソン・リッチ/「黒いカーテン」C・フランクリン・ミラー/「成層圏の秘密」ラルフ・ミルン・ファーリー
いずれも戦前ならではの、現代なら書けるはずもない、人権意識に照らして問題のありすぎる諸作である。解説が充実している。夫々の作品ごとの解題は理解に役に立つし、巻末の解説は翻訳者に至るまで説明してマニア向けに凝っている。(会津信吾、藤元直樹編、東京創元社、2013年)
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