2024年4月30日火曜日

石坂洋次郎『乳母車』 昭和31年

この作品は日活の映画の方が有名だろう。これはその原作の短編小説である。映画の方は映画用にかなり長く話を作っている。以下、短編小説の『乳母車』についてである。

主人公は女子大生で仲間と遊んだりしている。その仲間から主人公の父親が二号を囲っていると聞かされる。母親に確かめるとそうだと肯定される。騒がないのは、妻が騒ぐと夫はそれで浮気(不倫)にけりがついたと思うから、と言うのである。主人公はその二号の家を訪れる。二号の弟の青年に会う。二号との間に赤ん坊が生まれていた。青年が赤ん坊を乳母車に乗せて公園に行く。青年が居眠りしている間に主人公は乳母車を勝手に動かして去り、赤ん坊を見る。後に二号の家に乳母車を返しに行く。後日になって青年が怒り狂っていたと知る。主人公は自分の幼い異母妹を見ていたのである。

二号の問題がものすごく前向きに書いてあって驚く小説である。

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