一人称形式の回顧的な書き方の小説。語り手の青年は名門に生まれる。しかしながらその一門に相応しいまともな生活を送れそうにない、したくもない。つまり落ちこぼれ、黒い羊であり、小説の題にあるならず者となる。
父親が高名な医師であったため、医師の職業に就く。しかし青年には画才があり、むしろそちらの方に関心を持つ。また後にそれが人生に影響を及ぼす。青年は過去の巨匠の絵を真似し、その巨匠の絵として売る仕事をするようになる。一目惚れした若い女がいて、その父親が化学に関心があると聞く。父親の仕事を手伝うようになると、化学の実験なるものが贋札作りと知る。
娘と結婚したい青年は、父親が娘を隠したところを突き止め、一緒に逃避行する。青年は贋札作りに関わったので警察に捕まり裁判を受ける。オーストラリアに行き、そこで娘と結婚し幸福な生活を送れるようになった。(甲斐清高訳、臨川書店、2000年)
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