池田敏春監督、JHV、ディレクターズカンパニー制作、100分。
日本初、本格的スプラッター・ホラーと挿入されている当時のチラシのコピーにある。
広くホラー映画は、狭義のホラーと別に本作のようなスプラッター、またスラッシャーがある。ホラー映画は観る者に恐怖を与える映画で、例えば中川信夫の『東海道四谷怪談』は我が国のホラー映画の傑作であろう。スプラッターとは血しぶきから来た言葉のようで、残酷な映像の場面があり、それを期待して観る映画である。スラッシャーは殺人鬼が次々と人を殺していく映画で『13日の金曜日』『エルム街の悪夢』シリーズなどはその例だろう。なおここの定義は自分が今勝手に書いた物であるが、それほど一般の認識と異ならないだろうと期待する。
さて本映画はスプラッター映画である。筋は、あるテレビ局に送られてきたビデオがあり、それを撮影したと思われる場所(廃工場のようなところ)に、局の女4人と男が行き、次々と残酷に殺されていくという映画である。
映画として面白いかどうかは観る者が勝手にくだせばいいわけであるが、普通の映画なら観る者の好き嫌いと関係なく、評価があるものがある。小津の映画を退屈だと思っても、ベルイマンの映画をよくわからんと思っても、多数意見と思われる評価がある。スプラッターにそんな評価があるのか。本作にしてもより最近の『ソウ』シリーズや『ホステル』を「深く」分析した評論とかあるのだろうか。あるかもしれないが自分は知らないし、知りたくもない。スプラッターでも、スラッシャーでもないホラー映画は傑作と評価されている映画が結構ある。
さて本Bluerayは見始めて驚いた。画質が悪い!VHSなみである。昔劇場で観たのだが、この程度の画質だったのだろうか。デジタルリマスターをしてもらいたいものである。
本映画はいろいろな意味で懐かしい。監督の池田敏春はロマン・ポルノで知った監督であり、他のロマン・ポルノより面白い映画を作っていると思った。また後の『人魚伝説』も過激な映画ながら、普通の意味で傑作と言えるのではないか。また出てくる女優も懐かしい人達である。更に本映画が作られたのは昭和最後の年であり、翌年猟奇連続殺人が起こる。犯人がビデオの収集家でしかもその中にホラー映画があったというので、ホラー映画のせいにされてしまい(別に犯行と映画は関係なかったようであるが)、本作のような映画を作る、作ってよい雰囲気は完全に一掃された。それで続く作品は途絶えてしまった。それらすべて含めて時代を感じさせる(古臭いという意味で使っているのではない)映画である。
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