桂離宮はブルーノ・タウトの絶賛が有名である。他の建築等も含め多数意見と思われる評価がある。それらへの異見から始まり、建造物等は実用を第一とすべきであるという「日本文化」論である。伝統や国民性を論じるにあたっても外見的な要素に全く価値をおかず、見た目などより日本人が健康で快適な生活を送ればそれで文化や伝統が保てると主張する。建造物では法隆寺や平等院がなくなっても構わない。それに対して小菅の刑務所、築地にあったというドライアイス工場、軍艦を挙げ、これらが実用一点張りで機能美を持つと称賛する。
(脱線の議論になるが、小菅刑務所は実用一点張りの建物ではない。監視塔はまるで鳥の首のようであり、以前、何十年前になるが、電車に乗って近所を通過する時、この建物の異様な外観に目をひかれたものである。しかもこの建物を正面から見ると、鳥が翼を広げているデザインとなっている。実用第一主義どころか、極めて凝った建築なのである。)
そういう日本人の価値観を代弁しているのが、坂口の本論である。
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