昭和38年に埼玉県狭山市で起きた女高生殺人事件についての記録集である。本事件で特徴的なのは犯人として逮捕された男が被差別民であったため、濡れ衣を着せられた、冤罪であると事件当時より叫び続けられてきた点である。差別裁判と批判されてきた。本事件は冤罪なのかという問題と部落民差別批判が混然となって議論されている。例えば岩波新書で出ている野間宏『狭山裁判』は、冒頭に誤った裁判であると宣言し、後は裁判の過程を追って批判している書である。
そもそもこの事件とはいかなる事件か、それを知りたい向きには本書が最適である。事件が起こるまで、またその後どうなったか、現在では事件の現場等どうなっているのかを写真や地図で説明する。犯人とされた男がなぜ逮捕されたか、その不自然な点はどんなところか、といったところはほとんど書いていない。
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