物理学者の著者が日常生活や社会について、科学者の立場で見たり解釈したりする文を集めたエッセイ集。例えば、エスカレーターの並び方、数字を見るとそこに何かがあると考える、スーパーを歩く経路の分析、更には物理学者にいかに奇人変人が多いか、等々科学者ならではの視点が分かって面白い。
科学者特有の思考法を読んでいるうちに、経済学がまさにこれと同じ方法で経済を分析していると思いついた。もちろんここは経済学の話が書いてあるわけではない。著者もそんな気は全くないだろう。ただ抽象的な考え方の類似である。つまり世の中の経済現象を科学的に捕え、分析していくという方法である。経済の場合は毎日経験しているので、抽象的に見なして分析する経済学は、道具に過ぎないモデルを経済学者は現実をそう思っていると解釈され、評判が悪い。物理学で類似を捜すと、本書にも書いてある牛を球だとするなどがその例で、そもそも知っている人は少ない。
具体的な章、初めのエスカレーターの並び方について私見を述べる。本書では片側だけ立つより二人並んだ方が沢山さばける、それも高速にすれば早く着けると書いてある。
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