2021年5月28日金曜日

河合幹雄『日本の殺人』ちくま新書 2009

法社会学者の著者が日本の殺人の現況、更に逮捕後の犯人の扱い、殺人そのものを考察し死刑制度についても意見を述べている。まず最初に、統計でいかに各種の犯罪の実態を掴もうとするのが難しいかと語る。殺人がどの位あるのかを調べようとしても、普通考えられる殺人が複数の項目に渡っていたり、ある項目中にその項目名だけで想像する概念以外が入っているなど錯綜している。ともかく本書執筆の時点では年間千件近い殺人があるようである。

逮捕された後、そもそも殺人でも刑務所服役は割合が少ないようである。十年とか入っているとたとえ釈放されてもその後の人生の施し方が困難になってくる。家族も故郷も凡て見放している。民間の有志がこれまで世話をしてきたが、今ではそのなり手が少なくなっている。最後に死刑制度についての著者の考えが書いてあり、参考になった。

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