2019年4月10日水曜日

ロペ・デ・ベーガ『農場の番犬』 El perro del Hortelano 1618

スペイン黄金世紀演劇を代表する劇作家、ロペによる喜劇。

主人公の女貴族は自分の部下に恋する。しかし身分違いであり無理な恋である。自分が番をしている農場の収穫物を喰いたい犬に例えている。
女伯爵は自分の財産目当ての男には目もくれない。その女伯爵が内心好いているのが、秘書の美青年である。しかし身分が違い結婚できないので、その思いも打ち明けられない。

秘書は小間使いと相思の仲である。結婚するつもりでいる。嫉妬する女伯爵は、相手の小間使いに嫌がらせの類をする。秘書も主人の振る舞いを見て、自分を好きなのかと推測する。

身分の違いが妨げなら、秘書を貴族の隠し子だったとする企みも行なわれる。
恋につきものの、内心と異なる行動等があり、最後に好きな自分の気持ちを抑えられない女伯爵は秘書に告白する。秘書も自分が貴族などは作り話と打ち明けるが女伯爵は気にしない。

好きな者同士の結婚で幸福な終わり方となっているが、現代の我々が読むと、元々結婚するはずだった小間使いが捨てられる形で少し気になる。
稲本健二訳「スペイン黄金世紀演劇集」名古屋大学出版会、2003年所収

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