2019年4月27日土曜日

誇り高き挑戦 昭和37年

深作欣二監督、東映、白黒、89分。
鶴田浩二扮する新聞記者が社会悪を暴こうと挑戦する。

かつて大新聞に勤めていたが、反権力の姿勢を貫こうとしたため馘になった鶴田。今では鉄鋼の業界紙の記者である。某工場は武器を革命中の外国(日本に来ている)に売ろうとしているらしい。たまたま工場で丹波哲郎が車で去るのを見かけた。丹波は、戦時中は軍の機関、戦後はGHQの手先で働いていた。鶴田がGHQから痛めつけられていた時には鶴田に改心を促した。

鶴田は今でも迷宮入りになった女殺しに関心を持つ。その被害者の妹が大空真弓である。鶴田と組むカメラマンを若き日の梅宮辰夫が演じる。
丹波は武器を革命勢力と当該国の国家側双方に売りつける二枚舌を企んでいる。革命勢力の女は二重スパイをしている。

鶴田は工場で働く知り合いの中原ひとみに頼み、内情を探らせようとする。それが背後の権力側にばれて捕えられ、拷問を受け(静止写真で表現される)廃人になってしまう。
背後の権力は丹波や二重スパイの女まで容赦なく排除する。
真実を追求する鶴田は元いた大新聞に記事を載せてもらおうとするが、うやむやにされ大声で新聞社の事なかれ主義を糾弾する。
鶴田は最後には大空に言われて黒眼鏡をはずし、眩しく空を見上げる。

製作された時代の反映を感じさせる。庶民にはどうしようもない権力が凡てを支配する、松本清張の世界そのままだ。よく言えば正義真実を求めてやまない、悪く言えば青臭い鶴田は、当時は今より多かったはずである。制作側はその気がなかったろうが、正義のため事実を知るため中原を犠牲して何とも思わない鶴田は、ある意味左翼の身勝手さを表している(後に連合赤軍事件で極端に明らかになる)。

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