2018年11月7日水曜日

陽のあたる坂道 昭和33年

田坂具隆監督、日活、209分、白黒映画。石原裕次郎、北原三枝、蘆川いづみ出演。

北原三枝が家庭教師にやって来た、ブルジョワの住まいである洋館。そこでまず会った次男の石原裕次郎に、笑われながら胸を触られるという性的嫌がらせを受ける。
優等生の長男、母親は轟夕起子、社長の父親は千田是也、北原が面倒みる相手は子供かと思ったら蘆川いづみである。実際の二人の歳は2つしか違わない。

裕次郎は一見偽悪家ぶっているが、信じられないくらいの善人というイメージとおりの役。実は裕次郎は父親が妾に産ませた別腹で、それは家族全員薄々気が付いている。その実の母親が北原のアパートの向かいの部屋に住んでおり、北原と仲の良いという作り話ならではの設定。一人息子(川地民夫)と二人住まいで彼はアルバイトでジャズを歌っている。その店に芦川が北原を連れていき、驚く北原。これで芦川と川地は仲が良くなる。

優等生の長男は、実は驚くほどの偽善者の悪党というというこれまた型通り。その長男は一度北原に求婚し承諾を取り付ける。兄の悪事の尻拭いを裕次郎がする、この繰り返しを、母親の轟夕起子は見破っていた。裕次郎と轟との討論の場面、こんな議論を母と子でするのかと思ってしまうが、生さぬ仲である。

裕次郎は北原から実の母親の居場所を聞き向かうが、川地は怒り追い返してしまう。正月の宴会の最中に再訪しそれとは知らない母親や友人たちと飲み歌う。裕次郎を認めない川地とも、川原で喧嘩し、二人は仲良くなり、北原、芦川とダンスに行く。その最中、裕次郎は北原に突然接吻する。非常識と騒がれるが、後に北原は裕次郎を愛しているとわかり、長男に結婚を断る。同席していた裕次郎に長男は侮辱的言辞を弄し、裕次郎から殴られる。しかしここで長男の印象を若干改善する展開になる。最後の場面は、芦川と川地が仲良く行くところである。

時代を感じさせる。冒頭から性的嫌がらせである。金持ちが妾に産ませた子供、昔は多かったのか。また石坂洋次郎の作品にはむやみとブルジョワ家庭が出てくる。あまりに当時の一般的家庭と異なるのに。庶民の憧れということか。
この映画は約3時間半あるので、途中で休憩が入った。それにしてもあまり長いと感じさせない、そういう意味で優れた出来ということであろう。

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