谷崎潤一郎原作の『春琴抄』の映画化。
盲目の少女の春琴に一途に仕える佐助。さすがに女に尽くすことを最上と考えていた谷崎ならではの物語である。やや非現実な話にも見えるが、幕末から明治初期と思えば昔ならあったかもしれないと思える。
原作の雰囲気をよく出している。途中で春琴が師匠に認められ、その後継ぎとなると、古株の杉村春子が嫉妬するところは面白かった。小説の時も思ったが、春琴に仕える、世話することを人生の目的としている佐助自身がめくらになってしまうのは都合が悪いではないか。不便極まりなく、春琴のためにもならないと思う。小説でありその後を描かなくてもいいのだから、心配するに及ばないのだろう。
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