溝口健二監督の無声映画。日活太秦。これも菊池寛原作。この映画の主題歌は当時流行り、スタンダード・ナンバーになっている。
フィルムセンターの今回の上映は、弁士及びピアノ伴奏に加え、東京行進曲を歌う歌手つきであった。
夏川静江演じる女主人公は貧しい家庭育ち。芸妓に出れば家が助かるので、やむなく芸者となる決心をする。
ブルジョワの青年、藤本はテニスをしている最中、崖下の貧しい家の前へボールが落ちる。たまたま居合わせた夏川にボールを拾い、投げ返してもらうよう頼むが何回やっても届かない。その間清楚な夏川に惹かれる。自分のうちで雇おうとするが、数日後にはもういなかった。芸妓に出ていたのである。
芸者通いしている藤本の親は、新しい評判の夏川に迫る。彼女が嫌がって逃げる。その際、母の形見の指輪を落とす。それで夏川はかつて自分が芸者に産ませた子とわかる。
藤本は会社の歓迎会に出る。彼の友人、小杉勇が演じている、の企画である。藤本は芸者なんか嫌いだと席上言う。芸者になった夏川に会う。再会を驚く。小杉扮する友人も夏川に惚れる。妻にしたいと宣言する。藤本も彼女を愛していると知ったが小杉は諦めないと言う。
惹かれ合う夏川と藤本。彼は父に夏川との結婚を許してくれるよう頼む。真相を知った父は許せない。父は夏川に事実を告げた後、息子にも言う。こうなれば腹違いの兄妹は結婚できない。小杉に彼女を頼み、藤本はイギリスへ渡航する。
フィルムセンターの上映は、日活グラフ版といい約22分で日仏版より10分近く短く、特に終末あたりは簡単になっていた。
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