衣笠貞之助監督による無声映画。千早晶子、坂東寿之助等出演。
吉原裏の侘しい家、その二階に間借りする姉と弟。夜遅く弟が帰ってくる。何やら喧嘩でもしてきた様子。家主が階段を昇ってくる。姉が縫い上げた着物を明日届けてやろうと言う。
卑しい感じの男が家主の所へ来る。十手を持っている。拾ったと言う。姉を見て嫌な目つきをする。
弟は評判の商売女に入れ揚げていた。明くる日、うちにいてくれという姉の頼みも聞かず、縫い上げた着物をかっさらって家を飛び出す。取り巻き連を従えている吉原の女に、持っていってあげようとする。その時、着物をひったくる者がいる。着物は引き裂かれる。群衆の笑い者になる。
昨日喧嘩した男が現れる。再び喧嘩になる。男の投げた灰が目に入り見えなくなる。刀を抜いて振り回し斬りつける。反り返って倒れる男。人殺しだと叫びが上がる。
家に逃げ帰った弟は姉に人殺しをしたと打ち明ける。実は男が斬られたふりをしていただけだが、知らないので姉弟は悩む。目明しの振りをした男がやって来る。姉は捕まえに来たのかとおののく。男は姉が目当てだった。
弟は目が見えなくなってしまった。医者はカネがあれば治せると言う。近所のやり手婆は姉に商売を誘う。雨が降る中、にせ目明しが再び現れる。お上にわかってしまったと告げる。姉は何とか弟を逃がしてくれと頼む。男と一緒に一階に降りる。男が襲うと逃げる。その間二階の弟は目を覚まし、見えるようになっていると気づく。姉を呼ぶ。一階に降りる。台所で姉がにせ目明しを包丁で刺していた。
姉弟は雨の中を逃げる。あばら家の小屋を見つける。そこで休み、これからは離れないと弟は言う。しかし姉が寝ている間、弟はあの女が忘れられないと気づき、吉原へ戻る。すると女は自分が斬りつけたはずの男と笑って話し合っている。男が女にあの弟が今でも好きかと聞くと馬鹿にして笑う。会話を聞きつけた弟は気が触れる。その頃、暗い風景で白い道の十字路に姉はいる。弟の言った、いつまでも一緒にと言う声が聞こえている。
久しぶりの再見。姉弟の話だということ、最後の場面に出てくる白い十字路などは覚えていた。表現主義の影響が顕著で、家の一階からの階段は非常に長く、全体として舞台みたいな作り。外の家も歪んだ非現実な形である。
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