羽仁進監督、東方配給、左幸子主演、南米アンデスを舞台にした映画。
一人息子を連れて寡婦の左は、アンデス山中にある村までやって来る。そこに住む日本人と結婚するためである。予想と違い貧しく不便な村、住民のインディオたちとの習慣風俗の相違に戸惑う。
夫はインカの宝物捜しに夢中になっていく。普通に農業に従事したい左は、日本人の開拓地域にまで出かける。そこで高橋幸治演じる青年から何くれと世話になる。もしここで農業をするつもりであったら、協力してくれると言う。彼から種をもらい村に戻る。
夫が見つけた発掘物を博物館の専門家のところへ持っていく。専門家に、今では発掘物は凡て国家の物になると言われる。更に夫の親が戦争犯罪者であったことまで知らされる。
夫は宝物捜しを続けるが、左の目の前で土砂崩れが起こり生き埋めになる。
左は夫の子を産む。二児の母親としてアンデスの地に根を下ろし生きていく覚悟である。
凡てアンデス山中(ボリビア)でのロケ撮影で、このような日本映画は他にないという。
昭和30年代後半まで日本から南米への移住船が出ていた。40年代初めのこの映画の時代は、まだ日本に先進国という自覚はなかった。移住先が他のアジア諸国はともかく、アメリカというなら日本人は何か期待できた頃だったのだろう。
正直この映画の山村との比較なら、当時の日本といえどもよほどましな場所に思える。日本の南米移住を舞台にした映画として貴重である。
実はこの映画、子供のとき学校で見せてもらった。何十年ぶりかの再見で筋は覚えていなかったが、懐かしさで観直した。
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