2018年2月15日木曜日

朝の波紋 昭和27年



五所平之助監督、スタジオエイトプロ製作、新東宝白黒映画。主演高峰秀子。

高峰は中小の商事会社に勤める秘書だが、やり手で営業の仕事をバリバリこなしている。斎藤達雄演じる上司は余り面白くない。社長が渡米で不在中なので斎藤のイジメが露骨になりそう。岡田英次演じる同僚は高峰に気があるが、性格が悪い。

高峰の家で父親を戦争で亡くし、母親(三宅邦子)は箱根で働いている少年を預かっている。彼が飼う犬は近所の靴などを持ってきてよく叱られる。その少年と仲の良い会社員(池部良)がいる。池部に高峰も親しくなる。彼も商社員であるが英語が下手で先ごろもヘマをやったと言う。
少年と高峰は池部の家を訪ねると洋館の邸宅である。しかし外壁だけで内部は戦災で焼け落ちていた。浦部粂子扮する耳の遠い婆やに手を焼き、池部と彼の妹に会う。

高峰は知り合いの外国人から大きな注文を受ける。それを聞いた斎藤達雄は社長不在中でいい顔しない。岡田は彼女に一緒に注文を受けようと言う。
実はその注文は大商社に勤める池部のヘマのせいで、高峰のところへ話が持ち込まれたのだ。池部の同僚は、高峰の商社が発注した神戸の会社に圧力をかけ、商品を卸させないようにする。それを知った岡田と高峰は池部のせいだと思い込む。浅草隅田川沿いでボートの競争に出ようとする池部のところへ行き、なじる。池部の先輩の上原謙はいぶかしそうに見ている。
困り果てた高峰は神戸へ行き、会社社長に頼むが、承知してくれない。岡田もかけつけ説得する。この間、池部は会社社長に電話し事情を話す。そのせいで承諾を取り付ける。
製品が出航した後、岡田は高峰に結婚の申し込みをする。彼女はすぐには返事できないと言う。

同居する少年の飼っている犬が近所迷惑をかけ通しで、さすがに高峰の母も犬を捨ててこいと少年に命じる。捨てられない少年は犬と共に行方不明になる。この間、池部は箱根の三宅邦子を訪ね、息子と一緒に暮らせるよう東京へ来る手配をしていた。池部と高峰は一緒に少年を捜しに行く。見つからず、以前少年を連れて行った浅草のどじょう屋へ行く。そこで高峰と池部は言い合いになり、別れる。

岡田と高峰は神戸の会社が受諾してくれたのは、池部の口利きとわかり驚く。
家出した少年は東京の西のキリスト教団の施設にいるらしい。二人で訪ねる。香川京子演じるシスターに会い、少年を見つける。少年を連れて森の中を歩く二人、池部は高峰に告白する。

高峰のフランス帰り第一作として製作された。ともかく有名俳優が多く出ているのに驚く。池部が好青年ぶりを良く演じている。高見順の原作である。高峰の自伝『わたしの渡世日記』では、撮影を見に来た高見を「池部、岡田、上原の三人が束になっても敵わないほどの美男子」と書いている。

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