2018年2月10日土曜日

僕たちの失敗 昭和37年



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須川栄三監督、東宝白黒映画。市川染五郎(当時)主演。

市川は大学出なのに、普通のサラリーマン生活に縛られるのが嫌で、カメラ工場の工員として働いている。同じ工場に働く桑野みゆきに結婚を申し込む。ただし通常の結婚でなく、3年間経ったら見直す、という契約による結婚である。彼女は同意するが、市川の母親である轟夕起子や、桑野の父親もそういった期限付き結婚に反対である。
やはり工場で働く若林映子は市川と結婚したいと思っていた。3年の契約と聞いてその後釜に座ろうと思っている。市川を映画に誘う。市川はそれを桑野に伝えるといい顔をされない。

児玉清演じる同僚は子供が可愛いと言って市川の契約結婚に同意できない。またやはり同僚でカネへの執着が激しいケチがいる。
更に伊藤雄之助演じるうるさい上司がいる。母の轟が再婚したいと言うと、最初は祝福するが、相手が伊藤と聞いてやめろと言い始める。
当初は別居していた桑野が同居しに来る。更に妊娠したと言われ、堕胎にも反対され嫌になってくる。桑野の父親が借金の申し込みに来る。同意する代わりに二度とこの家に来ないでくれという。

同僚たちも問題が起きてくる。児玉は子供を亡くした後、自らも寝たきりの病気になる。市川に積極的だった若林は、他の男とも遊び歩き、真剣に思っていた同僚から刺される。
市川は桑野とも轟とも嫌気がさし、一人にしてほしいと言って家出する。女二人は警察に行方不明の届を出す。市川はトラックの運転手になって街道を走っていた。

縛られず自由に生きたい市川であったが、結婚すると女の方がどんどん変わってくる。今なら束縛が嫌なら、最初から契約かなんだか結婚をそもそもしないだろう。時代を感じさせる。当時、結婚はあまりに当たり前だった。今ではおそろしく生涯未婚が多い。
また契約結婚がこの当時、流行ろうとしていたか不明である。ただ戦前の小説である谷崎潤一郎の『蓼食う虫』もこの契約結婚を扱っている。時々流行りそうになりながら、結局結婚による束縛を避けるには、独身を選ぶようになってきたのだろう。

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