2018年2月3日土曜日

狂熱の果て 昭和36年



山際永三監督、佐川プロ、大宝白黒映画。無軌道で自分勝手な若者たちの様を描く。

主人公の若い女(星輝美)は家庭に嫌気がさして終夜、レストランなどで時間を潰している。父親は戦犯で釈放されたものの、無気力な男になっている。事情で引き取った若い男は母親と親密な仲になっている。その男は星にも目をつけている。

トランペット吹きの男は、すねて嫌がらせなどをしてうさをはらしている。友人のレスリング部の男は女にもて、妊娠させて捨てた女もいる。女優も自分の物にした。
星はそれらの男に近づき、自分から寝た場合もある。同居の男からは力ずくで犯される。絶望した父親は自殺を図り、病院に入るがそこで飛び下り自殺する。

若い男女は葉山の別荘に行くことにする。レスリング部の運転するスポーツカーは老婆をはね殺す。直後に来た老人も崖下に落として殺す。そのまま逃走する。
別荘に着く。みんなは意外とのらない。みんなを急き立てる男たち。
浜辺にいた星を、また同居の男が襲う。その後、星に恋していたトランペット吹きが怒って男に飛びかかり喧嘩になる。星とトランペット吹きはモーターボートに乗って沖をめざす。

警察が轢き逃げの件でやって来る。男たちはボートで逃げた奴が犯人だと言う。沖に浮かぶボートはガソリンが切れ、二人は言い合し、倦怠になっている。救助される。
星は回復後、帰京する。男は警察で取調べを受けている途中、刑事を殴って逃走する。
東京で星に電話する。待ち合わせの場所は警察が張り込んで捕まえる。星はそれを眺めている。

星は同居の男とレスリング部がテニスしているところへ行く。ナイフで同居の男を刺す。もう一方の男には押さえつけられた。

当時六本木族という無軌道な若者たちの群れがあり、それをモデルにしているそうだ。戦後16年も経って経済も高度成長している時代である。しかし今から見ると戦争をまだ引きずっている時代にも見える。

本作はフィルムセンターの特集「発掘された映画たち2018」で上映された。監督自身がフィルムの発掘に尽力したそうだ。会場に監督と主演の星輝美が来て上映前に挨拶した。監督はあの時代の雰囲気を伝えているかもしれないと言った。星は当時19歳であったが、今では70を越えてしまったと言っていた。

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