元々は昭和14年の出版で当時も大いに読まれたそうである。
大川周明と言えば右翼の思想家というイメージがある。この本の出版も戦前、もう戦時下であったわけであるから、天皇中心主義の記述と予想されるのは当然であろう。
しかしながら右とか左とか、保守反動とか進歩派とかそんなイデオロギーで割り切ること自体今では意味がない、古臭い発想である。
読んだ感想としてこの本は面白いのである。
こんなに面白い歴史の本は初めてである。実はあまり歴史の本を読んでいないせいかもしれない。なぜなら歴史の本ときたら事実の羅列を「中立的」とか称して(あるいは著者自身も信じているかもしれないが)、並べているだけの読む気を起こさないようなものが多い。世に歴史好きが多いから、そんなものでも売れるためであろう。
なぜ歴史がこのようになってきたかを知りたいのである。
この本は読んでいて歴史の流れがわかるように、読者に説得させる書き方をしている。
歴史の記述は否応なく、ある価値観がなくては書けない。いや、本人が中立のつもりでもどうしてもある立場にたっているのである。
それは以前多かった、まるで左翼学生のアジ演説に過ぎないような煽動的な書き方、マルクス主義の公式に当てはまるかだけを検討しているような歴史本を指しているのではない。
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