収録作品は、『父』Fadren 1887、『令嬢ジュリー』Fröken Julie
1888、『ダマスカスへ』Till Damaskus 第一部1898、『罪また罪』Brott och brott 1899、『死の舞踏』Dödsdansen 第一部、第二部1901、『幽霊ソナタ』Spöksonaten 1907である。
他の作家も多くそうしているように、ストリンドベリは自らの生活、体験を題材として作品を書いている。彼の場合は離婚3回に及んだ女性との「闘争」、不信である。夫と妻の不信による争いが要素となっている作が多い。
正直言って最も有名な『令嬢ジュリー』が例外と言ってよく、ただしこれも女性に対する作者の冷やかな態度が見て取れる。
次に有名な戯曲は『父』だろうか。ここでは離婚を協議中の夫婦が娘を巡って争う。妻の嫌がらせ、娘の実際の父かどうか疑わせる発言で絶望に陥る。
他の戯曲にしても同様に配偶者の間の骨肉相食む状況がベースとなっている。
人間の普遍的な問題の一つであるだけに時代や社会を越えて考えさせるものがある。
毛利三彌他訳、白水社、2011年
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