七夕祭りを迎える港町。船が着いて興行の一座や出稼ぎに出ていた者が帰ってくる。
興行一座の中で独眼の居合抜きの名人(大友)が目をひく。最も優れた興行を行った者には殿の前で披露を行なうとされている。漁師町でありながら城下町でもある。
評判通り居合抜きの名人に白羽の矢が立つ。名人芸を披露した後、殿が褒美をとらすと言うと殿に仕えている娘(丘さとみ)を名指す。そして眼帯をとるとかつてこの町で漁師をしていた者とわかる。彼と彼女は相思の仲であったのだが、娘は城へ召されてしまう。男は町を飛び出て侍としての修業を積み、十年経って帰って来たのである。
ここまでなら幸福終なのだが、この後また城から男に呼び出しがかかる。娘は漁師に戻って欲しいと頼み、男も侍を捨てるつもりでいた。城へ行って殿から取り立ててやると言われ、その気になって了承すると家来たちが襲いかかり斬り合いになる。
心配した町人や恋人の娘は、祭りでみんながええじゃないかを踊っている中、城へ駆けつける。門から出ていた男は斬られ息も絶え絶え、娘が駆け寄り銃でもろとも斃れる。
話はこのほか町を出たい男たちとその母や恋人との言い争いがあったり、前に亭主を大友に斬られたという女(千原しのぶ)が出てきたりするが付け足しの感がある。
武士社会の不合理の批判とも見えるが、男と女の価値観の違い(出世志向の男と家庭に止めておこうとする女)が前面に出ている。
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