知恵蔵はここでは道中を行く殿様の槍持ちという変わった役を演じている。道中といっても殿様、知恵蔵の他は供の加東大介のみという3人だけの一行である。殿様は人はいいが酒癖が悪く酔うと酒乱になる欠点を持つ。
映画ではまず道中で知り合った旅人たちの様が描かれる。身を隠した大泥棒、人の迷惑も顧みず道で野点をする大名一行、娘を借金の形にとられる老人。その娘を取り返すため、知らぬ間に亡くなっていた自分の娘のため蓄えたカネを出す男。大泥棒を怪我の功名で捕えた知恵蔵。
いい気分になって殿様は加東大介を連れて酒屋へ行く。進められて飲んでいると侍たちがやってきて難癖をつける。斬り合いになる。それを聞きつけた知恵蔵が飛んでいくが既に殿様はやられていた。槍を振り回し、大酒樽が並ぶ中で大立ち回りとなり侍たちを倒す知恵蔵。最後は殿の遺骨を胸に旅立つ。
傑作の呼び声の高い作品である。以前見たことがあり今回再見した。
正直評判ほどには期待が高かったせいか感心しなかった。昔見た時もそれほど感銘を受けた記憶がない。なぜ評価が高いのであろうか。一つは最後の立ち回りの迫力。ただ今ではその後の時代劇に慣れているせいもあってかそれほど凄いとも思わない。それと今言ったことと関連するが、制作された年代が昭和30年というまだ東映の様式美的な時代劇の全盛期であったのにも関わらず、リアリズム劇となっている点。立ち回りも当時はかなり迫力あったと思われる。斬新な劇として見えたのであろう。
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